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涙流れるままに(上下)/島田荘司

4334732607涙流れるままに〈上〉―吉敷竹史シリーズ〈15〉
島田 荘司

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通子が先の作品に顔を出していたことをまったく覚えてないので、なかなか彼女に感情移入をすることができず、ちょっとしんどい部分があったが、最もしんどかったのは、作者の顔が出過ぎるところ。通子や吉敷に視点が行っているときも、いつの間にか島田が語り始めるというのは、彼の真骨頂は正にここにこそあるので頭から批判はできないところだが、やはり物語に違和感を注入し、下手をすると、ここで醒めてしまう人もあるんじゃないかと気になった点だった。
作者が作中人物の言葉を借りて何かを訴える――そのこと自体は問題ないとして、作中人物の言葉を借りるんじゃなく、完全にすり替わる。これは既に小説技法的には破綻している。作者と作中人物との間に距離があるから、読者は作中人物の言行に涙できるわけで…。
それと、構成の話になるのかもしれないが、通子のエピソードは、半分のボリュウムで良かったように思う。悲劇も説明が饒舌に過ぎると胃にもたれる、話の流れも止める。「サンデー毎日」に掲載されていたという事情がそうさせたのかもしれないが、並行する吉敷の捜査がテンポよく進んでいるのに、挿話として行き過ぎているため、読んでいるほうにはじれったい。
最後の落とし方に疑義を呈する向きが多いようだが、ぼくはこれでいいと思う。涙流れるままに終わってしまったら、物語があまりに無難に閉じてしまう結果になる、吉敷と通子の未来をかえって閉ざすことになるのではないか。小説のエンドマークは、多くの場合、長い旅の終わりを意味するものだが、登場人物たちにはその後の人生もあるわけで。我々と同じように。

冤罪について、ぼくの考えは島田とほぼ同じ。人間のやること、そこにはいつか誤りがあるはずで、最も誤りがあってはいけない結論としての死刑は、法制上それを残すかどうかはともかく、毛ほどの疑いがあったらもう人に与えるべきではない。ぼくはつい自分の立場に置き換えて考えてしまうほうなので、こんな危なっかしい法律を適用する権限は誰にも預けちゃならんとあらためて思った。 (00/1/23読了)

評者 b.k.ノムラ
評価 ☆☆☆☆

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b.k.ノムラ

  • Author:b.k.ノムラ
  • 細々とライターやってます。そのかたわら、オンライン古書店・黒猫亭の番頭もやってます。
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