第34回大佛次郎賞、第61回毎日出版文化賞受賞作。
登場人物の口を通して『市民ケーン』という古典名作映画の題名が語られますが、吉田修一が意図したのは、リアルタイムで物語を動かしつつ、より当事者心理に踏み込んだ同作のバリエーションでしょう。
『市民ケーン』では、新聞王ケーンがいまわの際に発した「バラのつぼみ」という謎の言葉を新聞記者が追っていく過程で、ケーンの波乱に満ちた、そして孤独な生涯が浮き彫りになっていくわけですが、この『悪人』ではこのタイトルが即ちキイワードとなって、主要登場人物の虚実入り混じった人生が描かれていきます。
しかし、
新聞小説だからということもあるのかもしれません。序盤から散漫な印象を抱きました。
出来事を多層的に見せられるし、この手のプロットを効果的に見せるには多元視点が有利ではあるのでしょうが、ちょっと視点を振りすぎ。落ち着かない。
いかにもな感じで途中に何度か独白パートを設けているのも、物語の勢いを殺してかえってジャマに思いました。 (08/8/25読了)
採点:☆☆☆★
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jardin secret★31ct.読書部屋カンガルーは荒野を夢見る
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読み出してすぐに吉田修一らしくない内容だなぁと思った。らしくないというのは、柄にもないという意味だ。まったく似つかわしくない内容だと思った。まずは宮部みゆきの「理由」が念頭に浮かんだ。朝日新聞の連載小説だということが一つ。現代の世相にリンクした事件を題...
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