第137回直木賞受賞作。どうやら
選考委員は絶賛の模様。
頁を開いて最初に章見出しを見たとき、「なるほど『
羅生門』ね」と思ったけど、読み進めていくうち違うことが解った。むしろこれは『
市民ケーン』だな、と。
ある人物をめぐる複数の関係者たちの証言を並べて物語を構成するのは、方法としては珍しいものではないけど、このスタイルの長編はよほど巧くやらないと冗長になる嫌いがあります。
独り語りは地の文がないばかりでなく、会話相手との駆け引きも描かれないので、単調且つ薄っぺらになりがち。事実、本作も中盤を迎える前に早々にダルさと物足りなさを感じました。
魅力的な花魁として語られている葛城ですが、その魅力もなんだかありきたりなものに感じられ。そういう意味からもムダに長い印象がありました。
それと、葛城失踪のメカニズムと背景にも違和感あり。
結果、確かに力作ではあるけど、心に迫るものがなかった、というのが正直な感想です。
ところで、
特に単行本を読むときなど、カバーを外して裸の本体だけを持ち歩くことが多い。その際、帯の惹句などは読まずにスルーすることもあって、この本の場合もそうでした。
従って、"吉原の花魁葛城が忽然と姿を消した"という事実は知らないで読み始めたのでした。
小説は本編のみで完結する、という観点からすれば、帯の言葉に目を通さず直接本文に取りかかるのは間違ってはいないんですけどね。
そんなわけで葛城の失踪(消失)は読んでいるうちに解ったことなんですが、ちなみに当初は、足抜けか心中だろう、と普通に考えて読んでました。 (07/10/11読了)
採点:☆☆☆★
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なぜ、吉原一の花魁葛城は、忽然と姿を消したのか? 遣手、幇間、女衒ーー人々の口から語られる廓の表と裏。やがて隠されていた真実が少しずつ明らかになっていく……。吉原を鮮やかに浮かび上がらせた、時代小説のあらたな傑作!幻冬舎HPよりさて。第137回直木賞受賞作
吉原手引草松井 今朝子 幻冬舎 2007-03by G-Tools第137回直木賞受賞作。選考委員の評も、アマゾンのレビューも、かなりいい。確かに、吉原の手引書としては、読ませる力はあると思...
TBありがとうございます。
丁寧に書かれた本という印象でした。
芥川、って思って読んだのは一緒ですが、『市民ケーン』は知らないのでわかりません(^_^;)
最近帯やらあらすじやらで何がしかの情報を入れてからの読書が多いので(本屋さんとかでもどうしても目に入っちゃうし)、なかなかそういう読み方はできないですね。貴重な体験な気がしました(私はばっちり帯どころかあらすじがっつり読んじゃいましたけど)。