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消えた玩具屋/エドマンド・クリスピン

消えた玩具屋エドマンド・クリスピン早川書房 1993-11売り上げランキング : 577,819Amazonで詳しく見る by G-Tools一晩たったら、そこにあるはずの玩具屋が消えているというのは、実に素敵な謎ではあるけれど、解決が平凡だし、途中からはその謎だけでは支えきれなくなっている。最後は結局、ドタバタになってしまい興醒め。中途半端な印象。 (96/9/13読了)評者 b.k.ノムラ評価 ☆☆☆★...

そして誰もいなくなった/アガサ・クリスティ

そして誰もいなくなったアガサ クリスティー Agatha Christie 清水 俊二早川書房 2003-10売り上げランキング : 5,480Amazonで詳しく見る by G-Toolsポワロもマープルも登場しないノンシリーズの一作ながら、クリスティの著作中のベストに推す声が多い彼女の代表作中の代表作。ムダがなさすぎという意見もあろうが、このプロットだと不純物はできるだけ排したほうがおそらく効果的。同系統の作品は多いが、エポックメイキングであ...

第四解剖室/スティーブン・キング

第四解剖室スティーヴン キング Stephen King 白石 朗新潮社 2004-05売り上げランキング : 67,115おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools「幸福の25セント硬貨」と合わせて上下を為す短編集の一方。巻頭の表題作「第四解剖室」から「ジャック・ハミルトンの死」まで、過剰なまでに饒舌な語りに辟易どおし。どうしようかと思った。適度な贅肉はときに色気ともなり、作品の装いとして必要な場合があるが、ここまでくると息苦...

幸運の25セント硬貨/スティーヴン・キング

幸運の25セント硬貨スティーヴン キング Stephen King 浅倉 久志新潮社 2004-05売り上げランキング : 66,789おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools「第四解剖室」と合わせて上下を為す短編集の一方。「一四〇八号室」はまあまあ良かったのだが、「L・Tのペットに関する御高説」「例のあの感覚、フランス語でしか言えないあの感覚」なんかは読むのが大変だった。特に後者は苦行でしかなく、へたしたら活字嫌いになっていた...

我らが影の声/ジョナサン・キャロル

我らが影の声ジョナサン・キャロル 浅羽 莢子東京創元社 1991-11売り上げランキング : 312,966おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Toolsあらすじには「キャロルの作品中、最も恐ろしい結末」とあるし、サプライズ・エンディングが売りの作品のようであるから、楽しみに最後まで読んだのだが、茫然となるくらい腰砕けの結末だった。これくらいだったら普通に発想できるでし、それに怖くないよ、ちっとも。それでも三部構成の...

魔術師が多すぎる/ランドル・ギャレット

魔術師が多すぎるランドル・ギャレット 皆藤 幸蔵早川書房 1977-07売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Toolsどことなくミステリ色の感じられるSF、と思われる向きもあるかもしれないが、SFミステリの看板に偽りはなく、密室トリックを中心に据えたきちんとしたパズラーに仕上がっている。ダーシー卿のキャラもこのジャンルのファンには好ましいタイプといえる。10数年前の初読時は途中で放り出したが、今度は読み終え...

事件当夜は雨/ヒラリー・ウォー

事件当夜は雨ヒラリー ウォー Hillary Waugh 吉田 誠一東京創元社 2000-05売り上げランキング : 177,152おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools警察小説だそうだが、集団のドラマという感覚は希薄だった。刑事たちは、主人公の署長の手足に過ぎない。最後のドンデン返しはやや唐突だが、これがあることで作品評価が上がっているだろうことも確か。 (97/2/23読了)評者 b.k.ノムラ評価 ☆☆☆★...

憐れみはあとで/D・E・ウェストレイク

ハヤカワ・ミステリ文庫精神病院を逃げ出した一人の男が、逃走中に出会った男になりすまし、ある地方の夏期劇場にまぎれこむってのが発端なんだけど、要するに、劇団関係者の誰がその男なんだか解らないってあたりがサスペンスの中心になっている。本格ずれしているせいか、話を複雑に考えすぎてしまった。けっきょく正体は予想外だったんだけど、そういう謎解きものではもちろんないわけで。 (96/6/7読了)評者 b.k.ノムラ評価 ...

僧正殺人事件/S・S・ヴァン・ダイン

僧正殺人事件ヴァン・ダイン東京創元社 2000売り上げランキング : 29,664おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Toolsファイロ・ヴァンスが活躍するシリーズの第4作。童謡殺人もの数ある中で、最高峰に位置する作品とぼくは確信してます。 (02/12/17読了・再読)久しぶりの再読。今回もまた面白く読めた!(07/5/25読了・再読)評価 ☆☆☆☆★...

アスタの日記(上下)/バーバラ・ヴァイン

アスタの日記〈上〉バーバラ ヴァイン Barbara Vine 榊 優子扶桑社 1997-02売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools上巻だけで投げ出す人は多いだろう。物語が動き出すのは上巻の終わりからで、本当に面白くなるのは下巻の真ん中あたりから。実際、下巻だけでも話は成立すると思う。といって上巻がないでは面白みに欠ける。困ったものだ。ヴァイン(レンデル)にはいつものことだが、序盤のノリの悪さはほとんど罪。こ...

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ジョン・リドリーネヴァダの犬たち   ミッシェル・ルブラン殺人四重奏...

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トマス・ハリス羊たちの沈黙  ハンニバル(上下)エドナ・ブキャナンマイアミ・トラップ   ダン・ブラウンダ・ヴィンチ・コード(上下)  ボアロー&ナルスジャック悪魔のような女  ...

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フレデリック・ダール甦える旋律  生きていたおまえ…W.L.デアンドリアホッグ連続殺人ジェフリー・ディーヴァーボーン・コレクター  コフィン・ダンサー  エンプティー・チェア  石の猿  魔術師12番目のカード  ウォッチ・メイカー悪魔の涙D・M ディヴァイン五番目のコードフィリップ・K・ディックシミュラクラ...

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M.シューヴァル&P.ヴァールーロゼアンナベルンハルト・シュリンク朗読者リチャード・スターク悪党パーカー/人狩り,弔いの像,襲撃R.J.ソウヤーイリーガル・エイリアン...

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アイザック・アシモフ鋼鉄都市  はだかの太陽  ミラー・イメージ  夜明けのロボットロボットと帝国  黒後家蜘蛛の会 1,2,3,4,5ジェームズ・アンダースン血のついたエッグ・コージィ  切り裂かれたミンクコート事件マイケル・イネスアップルビィ警部の事件簿バーバラ・ヴァインアスタの日記(上下)S.S.ヴァン・ダイン僧正殺人事件F・ポール・ウィルスン黒い風(上下)コーネル・ウールリッチタイムズ・スクェアドナルド・E・ウ...

脳病院へまゐります。/若合春侑

脳病院へまゐります。若合 春侑文芸春秋 2003-07売り上げランキング : 203,943おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools第119回芥川賞候補に挙がった表題作と、続けて第120回同賞候補になった『カタカナ三十九字の遺書』を収録している。文章のテンポが良く、私的にリズムも合うので比較的楽しく読むことができた。思うに、筋立てや細部の描き方に狙い過ぎの感が漂い、そのあたりが嫌われて賞には漏れてしまったのだろう(あ...

さよなら妖精/米澤穂信

さよなら妖精米澤 穂信東京創元社 2004-02売り上げランキング : 7,513おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Toolsプロローグを読んだ時点では、SF的味付けのファンタジーかと思ったが、まったくそんなことはなかった。端的にいうなら、ユーゴの少女と日本の高校生たちの交流を描いたボーイ・ミーツ・ガールもの。キャラを描き分けようとしているのは理解できるし、意欲も買うが、果たせていない。ただ、ユーゴの少女だけが、行...

臨場/横山秀夫

臨場横山 秀夫光文社 2004-04-14売り上げランキング : 35,063おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools「終身検視官」の異名を持つ、L県警の捜査一課検視官・倉石を主人公に据えた短編連作。相変わらずうまいところをついてくる。横山作品の中で特に秀でているというわけではないが、収録作は、一般的にはいずれも佳作といっていい出来なので、読後に満足感は得られる。とはいえ、そろそろ警察ものや事件ものとは異なる、別...

深追い/横山秀夫

深追い横山 秀夫実業之日本社 2005-02売り上げランキング : 5,024おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools三ツ鐘署という所轄署が舞台の連作短編集。今回もこの著者らしく、刑事以外の、次長であるとか、会計職員であるとかいった周辺の人々が主人公になっていて、相応に事件のほうも身近なものになっている。人情もののテイストが強い。 (03/4/10読了)評者 b.k.ノムラ評価 ☆☆☆★...

半落ち/横山秀夫

半落ち横山 秀夫講談社 2002-09売り上げランキング : 24,765おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Toolsこの著者の3作目にして初長編。デビューから3冊出して外れなしは、かなり凄いことではないか。エンタテイメントシーンの端から端まで把握しているわけではないので、私見も私見だが、久々の大物登場を実感している。今回も警察小説だが、全6章の各章に主人公がおり、刑事、検察官、新聞記者…と、それぞれが異なる場所か...

動機/横山秀夫

動機横山 秀夫文芸春秋 2002-11売り上げランキング : 8,770おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools昨年の「このミス」2位。1位の『奇術探偵 曾我佳城全集』(泡坂妻夫)がご祝儀半分であることを考えれば、これが実質1位と思われる。また、表題作は日本推理作家協会賞を受賞した。とにかく「巧い」としか言いようがない。これがまだ2作目なのに、すっかりベテランの風格。次は長編が読みたい。 (01/8/15読了)評者 b....

第三の時効/横山秀夫

第三の時効横山 秀夫集英社 2003-02売り上げランキング : 15,368おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-ToolsF県警捜査第一課の捜査活動を描く警察小説。県下最強といわれる強行犯係一班班長朽木、公安あがりで冷徹な二班班長楠見、天才と称される直観型の三班班長村瀬、三人の優秀な部下に振り回される一課長の田畑らを、それぞれの視点から描く連作短編集。読後、昨年のエンターテイメント系小説の中ではナンバー1の評価を...

クライマーズ・ハイ/横山秀夫

クライマーズ・ハイ横山 秀夫文藝春秋 2003-08-21売り上げランキング : 17,656おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools「文春ミステリーベスト10」1位、「このミステリーがすごい!」7位の、03年を代表する話題作。85年の日航機墜落事故に際し、地方紙記者として取材に参加した著者本人の体験を元にしているらしい。人間というものは、どんな場合でも、自分の身の丈にあった行動しかしないものだ。こんなマスコミ、こんな...

看守眼/横山秀夫

看守眼横山 秀夫新潮社 2004-01-16売り上げランキング : 49,838おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools短編集。各編の主人公の職業を列挙すると、看守、フリーライター、家事調停委員、警務部情報管理課課長補佐、地方紙の整理記者、知事公室秘書課長。いずれの作品も、横山秀夫らしい創意と驚きに満ちている。表題作は月曜ミステリー劇場の二渡シリーズの一作として、既に映像化もされている。今回は、人が悪いなあ、と感...

影踏み/横山秀夫

影踏み横山 秀夫祥伝社 2003-11売り上げランキング : 120,183おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools長編のようで短編連作。主人公はノビ師。夜、住人が寝静まっている時間に忍び込む泥棒。素材的に意外な線だが、これもプロフェッショナルには違いない。このノビ師の主人公、以前、弟を亡くしていて、この弟の魂(なのか?)と頭の中で話し合いながら日常を生きているという特異な設定。それでもリアリティを壊さずに世界...

陰の季節/横山秀夫

陰の季節横山 秀夫文芸春秋 2001-10売り上げランキング : 6,641おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools第5回松本清張賞を受賞した表題作ほかを収めた短編集。D県警という匿名の県警を舞台に、警察の内幕が、浮ついたところのない堅実な筆致でつづられる。清張賞で警察小説というと、手に取る前から硬質なイメージがつきまとうが、ひとたび読めば、各編、最後まで息をつかせないスリリングな展開に興奮必至。先入観を排し...

顔/横山秀夫

顔横山 秀夫徳間書店 2005-04売り上げランキング : 5,733おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Toolsミスの責任を負い、広報室に異動になった元鑑識課の女性似顔絵捜査官が主人公。男社会で奮闘する女性を丁寧に描いてはいるが、プロットは他の横山作品に比べると地味で、いきおい評点も下げざるを得ない。4月から仲間由紀恵主演で連続ドラマ化される。こちらはあまり期待できそうにない。 (03/3/17読了)評者 b.k.ノムラ評...

病院横町の首縊りの家/横溝正史・他

鯉沼家の悲劇―本格推理マガジン 特集・幻の名作鮎川 哲也光文社 1998-03売り上げランキング : 687,765Amazonで詳しく見る by G-Tools光文社文庫「鯉沼家の悲劇」所収横溝がさわりだけ書いて未完となった「病院横町の首縊りの家」に、当時の中堅作家二人が解決編を執筆、完結させたもの。本当に事件の発端だけで横溝はやめているので、考えようによっては自由な解釈を許されたといえなくもないが、他人の作品にオチをつけるからに...

殺人契約/山田正紀

殺人契約―殺し屋・貴志山田 正紀光文社 1984-12売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools「殺し屋・貴志」というサブタイどおり、27歳の殺し屋・貴志が主人公のピカレスク・アクション。山田正紀は、殺し屋の生理とその孤独な焦燥感を意識して描いたとかで、読んでいて確かにそれらが伝わってくる。「必殺シリーズ」が好きな人にも楽しめると思う。なお、単行本はこれ一冊きり出ていないが、後に短編が書かれたらしい...

沈まぬ太陽(全5)/山崎豊子

沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上)山崎 豊子新潮社 2001-11売り上げランキング : 8,069おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools日本航空をモデルとした社会派大河小説で、実在の人物、事件に取材した準ノンフィクションでもある。至極真っ当なことをしたため会社から煙たがられ、10年を僻地で過ごさなければならなかった主人公の姿に胸打たれるのは間違いない。政財官の癒着の果てに腐りきった国民航空(日本航空)は、人災とも...

陋巷の狗/森村南

陋巷の狗森村 南集英社 1996-12売り上げランキング : 472,547Amazonで詳しく見る by G-Tools第9回小説すばる新人賞受賞作。幕末の京都を舞台とした、ふたりの人斬りの物語。「無限の住人」など時代コミックの影響が明白に、色濃く感じられ、その意味でオリジナリティは減点せざるを得ないところだが、この頃は珍しくなくなったにしても、幕末の志士たちのネガティブな部分を出そうとしているのに好感が持てる。 (03/2/20読了)...

最後の家族/村上龍

最後の家族村上 龍幻冬舎 2003-04売り上げランキング : 41,848おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools村上龍の小説を手にとるのは、これが初めて。仕事がらみで読むことになったが、読んで損はなかった。引きこもりの子供を持った家族の風景――ある日、ある瞬間を、それぞれの視点から多重的に描く。特に新しくはないが、テーマには合った試みだと思う。ゲーム的とも言えるか。今月(2001/10)からドラマが始まるが、そちらの...

華栄の丘/宮城谷昌光

華栄の丘宮城谷 昌光文芸春秋 2003-03売り上げランキング : 67,576おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools宮城谷昌光は中国を舞台とした歴史小説を連発して、一気に人気作家の階段を駆け上がった。本作もその系統に連なるもので、春秋時代に生きた清廉な一人の政治家(というんだろうな)の半生を描いている。真っ正直な書き方をしすぎていて、PHP文庫なんかによくある「中華英雄伝」風の本と大差ない印象があるが、よく噛...

十八の夏/光原百合

十八の夏光原 百合双葉社 2004-06売り上げランキング : 67,045おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools四編の短編が収録されていて、表題作は日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞した。確かに表題作がいちばん優れていると感じた。次いで二編目「ささやかな奇跡」。残りの二編はレベルが落ちるので、順に読んでいくと尻すぼみの印象を受ける。北村薫や宮部みゆきの作品の一部に見られる、嫌な表現だが「癒し」の要素は、多...

三島由紀夫集/三島由紀夫

三島由紀夫集―文豪ミステリ傑作選三島 由紀夫河出書房新社 1998-08売り上げランキング : 315,047Amazonで詳しく見る by G-Tools文豪ミステリ傑作選の第二弾。三島はミステリ読者であったようだが、本書所収の諸編は、いずれもストレートなミステリではない。豊富な語彙は魅力的だが、ともすれば敷居を高くし、一般のエンタテイメント読者には読み進めるのが辛いかもしれない。収録作のレベルに極端なバラつきがあるのも、トータル...

ディングルの入江/藤原新也

ディングルの入江藤原 新也集英社 2001-11売り上げランキング : 87,434おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools写真家の著者が、アイルランドの旅の記憶を小説に再現したもので、自身の気持ちの中でこの作品は「旅行記であるとともに長編詩であり、また小説でもある」という。おそらくその言葉に偽りなし、だ。この人の作品は初めて読んだのだが、文章の美しさにはいささか驚いた。簡潔でありながら豊かな表現力は、いくら過...

日暮れ竹河岸/藤沢周平

日暮れ竹河岸藤沢 周平文芸春秋 2000-09売り上げランキング : 27,208おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools浮世絵を題材に江戸の十二ヶ月を切り取った掌編十二編(「江戸おんな絵姿十二景」の副題あり)に、広重の特に『名所江戸百景』に材を取った七つの短編を収録。発想のもととなったモチーフが明らかなので、この手の趣向を好む読者にはたまらない作品集となっている(と思われる)。化連を嫌うこの作者らしく、物語はい...

驟り雨/藤沢周平

驟(はし)り雨藤沢 周平新潮社 1985-02売り上げランキング : 132,800Amazonで詳しく見る by G-Tools市井話というか庶民話というか、藤沢周平の十八番といえる名もなき人々の物語集(短編集)。この人のこのパターンの小説を読むと、この世をかたちづくっているのは「その他大勢」なんだ、ということを再認識させられる。やはり表題作が特にいい。 (01/12/8読了)評者 b.k.ノムラ評価 ☆☆☆★...

東京城残影/平山壽三郎

東京城(とうけいじょう)残影平山 寿三郎講談社 2001-09売り上げランキング : 279,514Amazonで詳しく見る by G-Tools第九回時代小説大賞受賞作。徳川が瓦解したからといって、時代はスムースに江戸から明治に移りかわったわけではなく、その過渡期となった一時期には様々なドラマが市政のそこかしこで演じられたはず。これはそんな物語のうちのほんのひとつに過ぎないにしろ、読めば確かにその時代の空気を感じることができる。 ...

真夜中の檻/平井呈一

真夜中の檻平井 呈一東京創元社 2000-09売り上げランキング : 97,051おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools【真夜中の檻】地方の旧家を舞台とした和風ゴシックホラー。豊かな表現力に流れるような文章は、小説の著作を、これと『エイプリル・フール』の二本きりでやめたのが惜しまれるほど。新世紀の一発目がこの作品で、本好きとしてはこの上もなく幸せ。【エイプリル・フール】伝奇色の濃かった『真夜中の檻』から一転...

夢を走る/日野啓三

夢を走る日野 啓三中央公論社 1987-04売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools目に映る世界のほかに、また別の世界があったとして、そういった世界の存在を感知できる人たちを主に描いた幻想短編集。『現代人気作家がすすめる私自身の一冊』(1989年刊)というムックの中で、著者本人が「小説家にとって一番こわいのは、こんな作品はもう書けないのではあるまいか、どんなに努力しても――と感ずることである。この短編...

あの夕陽/日野啓三

あの夕陽日野 啓三新潮社 1975-01売り上げランキング : おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools第72回芥川賞受賞作の表題作を含め、6編の短編が収録されている。奥野健男の巻末解説によると、「写実的な私小説から、都市幻想の虚構小説へ向う過渡期の紀行文的、原風景的な小説の多い時期の作品」とのこと。先に読んだ「夢を走る」は明らかに「都市伝説の虚構小説」だったが、これより遙かに好みに合う作風だった。 (03/5...