『野生時代』に連載されたホラーテイストのミステリ。単行本化された昨年は、文春ベストで4位に選ばれました。
今回は
気持ちネタバレ(なるべく核心には触れないようにします)を含みますので、未読の方はご注意ください。
皆さん、最大の誉めどころにリーダビリティの高さを挙げているように、厚さを感じさせない軽快なタッチはさすがです。
What?→Why?→How?→Who?("Another"= Who?)と段階を踏み、Anotherの正体へと物語が集約しているプロットも緻密で、作者の企みはかなりのレベルで成功しているように思います。
ただ、結局それが綾辻行人ということなんでしょうが、Anotherの正体に迫るプロセスに論理的な裏付けがない。
Anotherの正体をいかにして暴くのか。いざ正体が判明したとき、どういうふうに対処するのか――といったあたりが見せ場になるのかと思ったら、前者は力業で、後者は驚くほどのあっさり描写でクリア。クライマックスまで来て、思いきり肩透かしです。
それと、一人称を選んだのは、Anotherの正体を隠すため(叙述トリックを仕掛けるため)ですよね。それは仕方ないにしても、いわゆる"パニックもの"の顔を持ちながら、主人公とヒロインを除き、"範囲内の人間"に対する言及がここまで少ないのはやはり問題ではないでしょうか? 3年3組が4、5人のクラスに感じられてしまいます。それでは、現象自体がいくらとんでもないものでも、切迫感は薄れます。
主人公とその周囲の人々を取り巻く不可解な状況の現出→その状況の正体が判明→対処法探し→最後の冒険(戦い)、という構造を持った作品は数多いですが、たとえば吉来駿作の『キタイ』なんかは、(既にうろ覚えですが)もうちょっと"限定された人間関係内で起きる超常パニック"の描き方がうまかったように思います。
"ボーイ・ミーツ・ガール 学園ホラー風"として読めば面白いのですが、ミステリとホラーの融合作品という視点で見ると、今ひとつでした。
読了:10/2/7
採点:☆☆☆★
以下のTB先ブログはそれぞれネタバレがあります。
きちんと事前にアナウンスは入りますが、未読の方はご注意下さい。
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taipeimonochrome ※ややネタバレあり
dachsholic ※ネタバレあり
ミステリあれやこれや ※ネタバレあり
四畳半読書(猫)系 ※ネタバレあり
昨年面白かった本のベスト10です。
読了本全95タイトル(グイン・サーガ除く)から選びました。
1『オリンピックの身代金』 奥田英朗
2『
ジョーカー・ゲーム』 柳広司
3『初恋ソムリエ』 初野晴
4『チーム・バチスタの栄光(上下)』 海堂尊
5『ダブル・ジョーカー』 柳広司
6『キタイ』 吉来駿作
7『ソウル・コレクター』 J・ディーヴァー
8『ドラゴン・ティアーズ――龍涙』 石田衣良
9『獣の奏者(I)』 上橋菜穂子
10『球体の蛇』 道尾秀介
新年あけましておめでとうございます!
昨年は入院やら何やらでブログの更新が停滞し、ご訪問いただいた皆さんには無駄足を踏ませてしまいました。
申し訳ありません。
まだしばらく時間がかかるかと思いますが、徐々にペースを戻していきたいと思います。
長い目、温かい目で見守っていただけますと幸いです。
今年もよろしくお願いします。
著者にとってはデビュー作となる、「ミステリ・フロンティア」レーベルの謎解きミステリ。
島田荘司推薦と聞いて眉にツバを付ける向きは多いでしょう。大ファンを自認する自分も、彼の推薦だけは信用していません(ということは、概ねハズレということで逆説的に信用しているともいえる)。
島田は確か以前、「プロとして足りないところがあるのは承知の上で、本格ミステリ振興を目的に、衆目を集めるため敢えて大きな声を上げている」といったニュアンスのことを言っていたように思う。つまり、本作もそうした作品のひとつでしょうね。
図書館で借りたため、たぶん帯に付いているであろう推薦の言葉は読むことができなかったのですが、創元のHPに掲載されていました。
●東京創元社HPより
島田荘司氏推薦──「第一線の現職医師が、本格ミステリーの愛読者であったことは幸運であった。年間数百冊を超えるミステリーを読破する氏の本格への造詣は、専門家の水準を超える。今後は、本格ジャンルのためにもその能力を活用してくださるという。嬉しいことだ。」
医学の知識のある人がミステリ書きになってくれて嬉しいという内容で、作品について具体的に言及していないのがポイントでしょうか。
魅力的なモチーフを揃えながら、一本のストーリーとしてはパンチ力に欠ける。多くの方が指摘されているように、キャラクターも弱いですね。
文章も推敲不足に思われ、あらゆる意味でもう少し醸成期間が欲しかったように思います。
読了:09/11/24
採点:☆☆☆
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柊舎季節の切り抜き帳 〜 Clipping of Season 〜積まずに読みたい!
個人情報が軒並みデータ化される時代のイヤ〜な雰囲気を取り込んだ、リンカーン・ライム シリーズ第8作。
今回は正直ライムには荷が重い相手で、仲間の奮闘と、(いつも以上に)僥倖に助けられた印象が強い
。
特にどんでん返しを求めているわけではないけど、展開があまりに淡泊すぎて感じられるのは、ディーヴァー慣れしちゃったということなんでしょうかね。
そんなこんなで、シリーズ中では残念ながらBクラスといわざるを得ない。犯人との戦いより、むしろライムの過去が描かれるあたりが読みどころなのかもしれず、これが初ライムという人には勧めづらいですね。
読了:09/11/22
採点:☆☆☆☆
貫井作品を読むのは、デビュー作『慟哭』以来。
決して『慟哭』がつまらなかったわけではありません。むしろオールタイムベスト級の傑作と思いました。で、にもかかわらずここまでご無沙汰してしまったのはなんで?という話ですが、「タイトルとあらすじがピンと来なかったから」というとご理解いただけるでしょうか。
本作もまた売る気の感じられないタイトルで、正直どうしようかなと思いました。でも、あらすじがそそるので挑戦してみることにした、と。
シリアルキラーで劇場型犯罪でたぶんミッシングリンク。個人的に期待感アリアリ。
ところが――
前半は辛かった〜。
期待していた部分が部分だけに、マジでハズレ引いたかな、という感じでした。いろいろレビューを見てまわったら、同じように前半が怠いという印象を持った人は多いようですね。
後半、一気に物語が加速して、そこからは間断とさせることなく最後までいくのですが、スタートの出遅れが痛かった。しまい脚を伸ばしたけど届かず――といったところでしょうか。
"その後"が気になるタイプのストーリーなので、続編を書く手もありかな。
貫井徳郎はシリーズものの印象がないけど。
ところで、内容とは関係ない、言葉選びで気になったことがあって。
手元になくて例を引けないので、ニュアンスが変わってしまったらごめんなさいですが、この作者、「死んだはずの
人が生きていた」という書き方をしますよね。
むろん間違ってはいないのですが、なんか妙に感じられて。
ここは「死んだはずの
人物(者/男・女)が生きていた」とするのが普通でしょう。自分もそう書くし。
なんか、こだわりでもあるのかな。
読了:09/11/17
採点:☆☆☆☆
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しょ〜との ほそボソッ…日記…新・たこの感想文
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このままだと回復不能になりそうなので、渋滞分をハコだけアップすることにしました。
中身は少しずつ埋めていきます。
新しく読み終えた分は、なるたけリアルタイムで中身をアップしていきます。
読了:09/11/3・11/5
採点:☆☆☆☆
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このままだと回復不能になりそうなので、渋滞分をハコだけアップすることにしました。
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読了:09/11/3
採点:☆☆★
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読了:09/11/2
採点:☆☆☆★
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このままだと回復不能になりそうなので、渋滞分をハコだけアップすることにしました。
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新しく読み終えた分は、なるたけリアルタイムで中身をアップしていきます。
読了:09/10/27
採点:☆☆☆★