世界選手権の単・複・混複で計12個の金メダルを獲得した「ミスター卓球」の半生記。
非常に短期間ですが卓球の経験があり(中2のとき。カットマンでした)、荻村伊智朗の名前くらいは知っていましたが、これほどの功績のある人物とは思ってもみませんでした。
現役時代にとどまらず、その後も指導者として、斯界の権威として、死の間際まで卓球というスポーツに身を捧げた人だったんですね。
何かと怠惰に流れがちな自分をわざわざ省みるまでもなく、彼の人生の軌跡のほんの一端を見せられただけで圧倒されてしまいます。
ただ、一個の人格としては決して問題がなくもないようで。
「おばさん、僕は人間としての荻村伊智朗は好きじゃないけど、卓球人としては心の底から尊敬してるんですよ」(p124)
一読しての荻村伊智朗観は、まさにこのとおり。本人に接していれば、同様の感想を抱いただろうと思います。
何かを極めようとするときに解りやすい人間らしさを捨てねばならなくなったり、ある種の生活上のストレスが才能の発芽をかえって促進することがあるのも確かでしょう。でも、才能ある人間ならエキセントリックでも構わないという意見には、与しかねるものがあります。
才能はさておき、エキセントリックと評されることが多いぼくにしてそう思うんですから、彼に嫌悪感を抱いて去っていった人たちもきっと多いことでしょう。
水道道路や五日市街道は日常的に使っていたので、もしや知ってるあたりかと思いMapionで武蔵野卓球場(旧)の所在地を調べたら、やはり馴染みの場所でした。もしかしたら路上教習でも通ったかも。ただ、卓球場があったという記憶がないのが残念です。 (08/5/9読了)
採点:☆☆☆★
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しょ〜との ほそボソッ…日記…私はこんなものを読んでます。 ルーバルで有機野菜畑
シリアルキラー界で最も有名な"切り裂きジャック"をテーマにしたノンシリーズ作品(ということに一応なっている)。いつ以来か忘れたけど再読。
被害者の身体を切り裂いて内臓を引っ張り出すという猟奇的犯行、霧のロンドンという舞台設定、犯行声明(予告)とされる手紙など、センセーショナルな要素に彩られているだけに、"切り裂きジャック"事件は直接、間接に多くのミステリ作家に引用されています。
本作はそのうちでも、かなり事件そのものに踏み込んだ内容といえるかもしれません。
今回読んだのは文春の二次文庫ですが(初読は集英社の単行本でした)、どうして集英社は絶版にしたんだろう? もったいない。 (08/5/4読了)
採点:☆☆☆☆
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<笑う猫と冒険日記>読書狂日記ながし読み日誌
たぶん『夏子の酒』の後を受けて「モーニング」で連載された作品。10数年ぶりの再読です。

解説によると「三里塚と山武郡芝山町を中心に巻き起こった、新東京国際空港建設反対闘争をモチーフにして描いたフィクション」。要するに成田闘争、三里塚闘争の話です。
フィクションとはいえ、題材が題材だけに軽々に扱いづらいものがある。といったことから、かなり実状を踏まえて描かれているのではないかと思われます。
ヒットしなかったと
公式ホームページに著者本人が書いています。それはそれとして、現在絶版なのは写真の盗用が原因という話をよく聞きますが(ネットでも言及されることがありますが)、出版社や著者から公式にコメントは出ているのかな?
内容から推して、どこかから圧力がかかった、あるいはかかりそうなことも、簡単に絶版にした理由のひとつとしてあるのかもしれません。
いずれにしても、復刻が望まれる作品です。
初読は貸本屋で全巻借りてきたもので、その後自力で集めていたものの5巻だけ見つからず、長く再読ができずにいました。ところが一昨年でしたか、知人が島根で見つけてくれたので全巻揃えることができたのでした。感謝! (08/5/3読了)
採点:☆☆☆☆
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オヤジマンガ図鑑
『ギャラリーフェイク』の後を受けてスピリッツで連載中の細野不二彦作品(たぶん)。雑誌ではノーチェックでコミックスで初めて読みました。
一話読み切り形式かと思ったら長編サスペンスなんですね。悪女ものっていえばいいのかな?
端的に言うと、謎を秘めたヒロイン・天宮詩織が電波の世界で成り上がっていく話。5巻でまだお天気キャスター、そのうえ展開がえらくゆっくりめなので、最終的にはそこそこ巻を重ねそうな気配があります。
にしたって今回のカッパの川流れなんか、正直そんなに引っ張るエピソードとは思えないし、もう少しテンポ良く進めてもらいたいなあ。でないと、挫折しちゃいそう。 (08/4/29読了)
記念すべき初桜庭――が、なぜ本作かということに深い意味はなく、たまたま家にあったから。
乙一との比較で語られることが多いので、気持ちそういう構えで読んだんですが、彼ほどに凝ったプロットではなく、サプライズに重きも置かれていない。たぶん、乙一というより『GOTH』の主人公を連想しての比較なんでしょう。にしても違うけど。本作の主人公はサイコパスでもなんでもなく普通の女の子だし。
物騒なエピソードや描写があるにしても、やはり本質は青春小説ですね。
良くも悪くもあっさりしているのは、あるいはこの人の作風なのかもしれませんが、もっとヒリヒリしたもの、もっと張りつめたものを読みたい読者には、少々物足りないかもしれません。
本作を読んで得た感触から、『赤朽葉家の伝説』『私の男』はおそらくぼくには合わないと見ました。むしろラノベ時代の作品のほうがしっくり来そうな気が。今度、ブックオフで探してみよう。 (08/4/25読了)
採点:☆☆☆★
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どくしょ。るーむ。猫は勘定にいれません極楽夜会BUFF's Blog粋な提案
第28回小説推理新人賞受賞の表題作ほか、本所七不思議をモチーフにした時代ミステリ7編を収める連作短編集。
たとえば宮部みゆきの、同じく本所七不思議に材を採った『
本所深川ふしぎ草紙』を始めとする時代小説群は、情・理・幻想のバランスが良いのが特徴ですが、誉田龍一の手になる本作は特に「理」のウェイトが高く、『
探偵ガリレオ』に近い方向性を持っているように思います。
このタイプの作風が好きなこともあり概ね楽しく読めたのですが、"時代"小説としての雰囲気が今ひとつだったかな。事件・(有名)人・発明といった歴史教科書的なアプローチから入るだけでなく、次作では背景となっている時代の雰囲気をもっと強く出してほしいものです。
また、作品のキモである"七不思議とその解明"がときに取って付けたように感じられ、連作としてはともかく、一編一編の評価ではあまり良い点をつけられないエピソードもありました。
キャラクターの弱いのも気になる点。 (08/3/30読了)
採点:☆☆☆★
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黒猫書房書庫Favorite Books猛読醉書
デビュー当初は原作付きが多かった中山昌亮が、たぶん初めてピンで描いた作品。「チャンピオンRED」に連載されてました。「週刊少年チャンピオン」にて現在連載中の続編を先に読んでいて、旧作を読むのはこれが初めて。
ホラーというよりショッカー。絵やシチュエーションで脅かすタイプの恐怖コミックです。
こういうスタイルはビジュアルメディアならではですが、『オフィス北極星』『PS -羅生門-』などで画力と演出力は折り紙付きの作者ですから、なおのこと"安心"して読むことができます。
作品としてはファースト・インパクトが命なので、必然的に再読には向かないタイプといえますが、それでも"不安の種"は読者の心に確実に埋め込まれ、やがてふとしたときに恐怖として芽吹くことは間違いないでしょう。 (08/3/21読了)
採点:☆☆☆☆
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感想図書館Lエルトセヴン7 第2ステージ
IWGPシリーズ第7作。マコトもタカシも、いよいよ人間離れ……どころか人智を越える存在になってきました。
『要町テレフォンマン』 マコトが振込詐欺グループと対決する話。悪事の実感がなく、サークル感覚でやっているというのは本当でしょう。ネットとか電話を介した顔の見えない犯罪は総じてその傾向が強い。今回、グループに対するケリの付け方は悪くなかったけど、ヨウジの始末が決して付いていないのは片手落ちと感じました。
『詐欺師のヴィーナス』 今さら感があるけど、絵画商法がテーマ。モチーフはラッセンですね。繁華街のど真ん中でこんなことして、どうして取り締まられずにいられるのかいつも不思議に思ってます。以前、某地方デパートで同趣旨のイベントがおこなわれているのを覗いたことがあります。そのときの売り込みがさほどではなかったのは場所柄でしょうか。ところで、ラッセンや天野喜孝といった、絵画商法に使われている(とされている)絵描きさんたちは実状を知っているのだろうか?
『バーン・ダウン・ザ・ハウス』 ストーリーの本線は連続放火事件そのものにはない。少年はマコトとの出会いを通じて再生できるのか、それとも陽の当たる世界に背を向け続けるのか…。にしてもこのタイトル、どうかと思う。
『Gボーイズ冬戦争』 Gボーイズの内紛を描いたエピソードかと思ったら、そうでもなかった。物語のスケールが、マコトとタカシのスケールに追いついてないのが不満ではありますが、とはいえ収録作中の白眉であることには違いありません。面白かった。 (08/3/7読了)
採点:☆☆☆☆
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粋な提案日々のことがらぼちぼち
いつの間にやらレクター・シリーズと呼ばれるようになった、レクター博士が登場する連作の2作目。たぶん再々読。
シリーズ既刊感想:
ハンニバルこのところディーヴァーのライム・シリーズを立て続けに読んできたことから、同シリーズに大きな影響を与えたとされる本作を再読する気になったのでした。
ストーリーは『レッド・ドラゴン』のほうが好みなんですが、レクターの登場シーンが多く、主人公が女性で華やかさもあるということで、こちらのほうがエンターテイメントとしての押し出しがいいのは認めざるを得ませんね。
思えばこの作品当時、レクターのファースト・ネームの日本語表記は「ハニバル」だったのが、その後いきなり「ハンニバル」となったのには、とっても違和感を覚えます。
タイトルが「ハニバル」では重厚さに欠けるのは解りますが、"Hannibal the Cannibal(人食いハニバル)"の語呂合わせから来ているんですから、「ハニバル」→「ハンニバル」となるなら、「カニバル」→「カンニバル」となってしまう。
ハンニバル・ザ・カンニバル……って、いくらなんでも間抜けじゃないですか?
もうひとつ余談。
『羊たちの沈黙』の映画を初めて観たとき(レクターの異名を聞いたとき)、『
カニバル』という古い映画を思い出しました。 (08/3/3読了)
採点:☆☆☆☆
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日々積読本棚
骨太のストーリーに、折りに触れ挿入される独特のギャグ。小林まことの真骨頂が味わえる青春柔道漫画です。
あまり読まないヤンマガ連載作品の中で、これは可能なかぎり読んでました。当時はコミックスを所有していたけど今回は文庫版で再読。
おそらく作者に最も金銭的な成功をもたらした『What's Michael?』には、大の猫好きにも関わらず惹かれるものをあまり感じないんですが、『1・2の三四郎』と同パート2、そして本作『柔道部物語』は、小林まことの著作中でもかなり好きな部類に入ります。
これらは格闘漫画ファン必読の書といえるんじゃないかな。
wikipediaに「当時連載時期が同じだった週刊少年サンデーの『帯をギュッとね!』とよく比較される作品」とありますが、努力より天才性が目立ちすぎる「帯ギュ」と比べると、遙かに地に足のついた漫画といえるかと思います。 (08/2/*読了)
採点:☆☆☆☆